第3話: 森の声

さつきの目を覚まさせたのは、遠くで聞こえる小鳥のさえずりと木々のざわめきだった。目を開けると、テントの中は朝日の柔らかな光で包まれていた。彼女は、心地よい目覚めとともに新しい一日を迎えることができた。

朝のルーチンを済ませ、さつきは森の中を散策することに決めた。目的地は特に決めていない。ただ、森の奥深く、自然の美しさや森の生き物たちとの出会いを求めて歩き始めた。

途中、さつきは小さな滝を発見する。その滝の前には、野生の鹿が静かに水を飲んでいた。彼女はその場面に息を呑んだ。都市部での生活では考えられない、非日常の光景。カメラを構えて、その瞬間をシャッターに収めた。

さらに奥へと進むと、森の中に小さな祠が立っていた。古びた石造りの祠は、長い時間を経てもなお、森の中で静かに時を刻んでいた。彼女は手を合わせ、心の中で願い事をした。自分自身の心の平安と、これからの人生での明るい未来を。

その後、さつきは森の中で出会った様々な生き物たちと触れ合う時間を持った。野生のウサギや鳥たち。彼女は彼らとの短い時間を大切に感じ、自然との一体感を深く味わっていた。

昼下がり、彼女は湖畔のベンチで休憩を取ることに。そこで、彼女は隣に座っていた老夫婦と話すことになった。彼らはこの「星湖の森」に毎年訪れており、彼女に様々なエピソードやこの地の伝説を教えてくれた。特に印象的だったのは、森に住む精霊の話だった。それは、森の守護神として、訪れる人々の心の平和を願っているというもの。彼女はその話を聞きながら、今日の森の中での出会いや経験が、その精霊の導きであると感じた。

夕方になり、再びテントのもとへと戻ったさつき。彼女は今日一日の経験を振り返りながら、焚き火の暖かさを感じていた。そして、心の中で囁いた。

「ありがとう、星湖の森。そして、森の精霊たち。」

彼女の心は、この森での三日間で大きく変わった。自分自身を見失いそうな時、この場所を思い出し、再び自分を取り戻せるだろう。

夜の森の音を聴きながら、彼女は再び深い眠りに落ちていった。




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