第2話: 初めての一人キャンプ

夜明け前の冷え込みは、さつきが想像していた以上だった。湖からの冷たい風がテントの布を震わせている。彼女は寒さに目を覚ました。スネアウトドアの経験は乏しく、厳しい環境下のキャンプの難しさを少しずつ理解してきた。

しかし、その寒さを忘れさせてくれる光景が外に広がっていた。湖上に立ち昇る朝霧、そして、それを背景に昇る太陽。美しい光景の前に、彼女はただ感動することしかできなかった。

さつきは早速、キャンプの朝ごはんの準備を始める。先日購入したポータブルストーブで湯を沸かし、インスタントのコーヒーと乾燥フルーツを朝食としていただいた。簡素な食事だったが、この自然の中での食事は、都会の高級レストランでの食事とは比べ物にならないほどの価値があった。




食後、彼女は湖を歩きながら、この地の美しさをもっと感じ取ろうと決意した。手にしたカメラを片手に、さつきは湖畔を歩き始めた。途中、彼女は湖の中心に小さな島を発見する。この島への興味が彼女を突き動かし、さつきはレンタルのカヌーで島へ渡ることを決意した。

カヌーの経験はほとんどなかったが、彼女は勇気を振り絞って島へ向かった。カヌーを漕ぐことの難しさ、湖の真ん中での孤独感。しかし、それを超えた先に待っていたのは、島の静けさと、湖から見る景色の美しさだった。

島で過ごした時間は、彼女にとって宝物のようなものだった。自分だけの特別な場所、自分だけの時間。さつきはこの場所で、日常の喧騒やプレッシャーから完全に解放された気持ちを味わった。

夕方になり、島を後にするさつき。彼女の心は、この一日の経験で豊かになっていた。テントに戻り、再び焚き火を囲みながら、彼女は今日の経験を日記に綴った。

「一人でのキャンプは、自分と向き合う大切な時間。今日の経験は、私の中で大きな変化をもたらしてくれた。」

星空の下、日記を書き終えた彼女は、心地よい疲れとともに深い眠りに落ちた。

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